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2026-07-31

2026年10月1日に変わる4つの制度まとめ|カスハラ義務化・インボイス経過措置70%・最低賃金改定・社会保険の適用拡大

📝 2026年8月2日 追記:3つではなく4つでした
公開時(7月31日)は3つの制度として書きましたが、同じ2026年10月1日に社会保険の適用拡大(いわゆる「106万円の壁」の撤廃)も施行されます。人件費に直接効く重い変更を落としていたため、④として追記し、優先順位も見直しました。

2026年10月1日は、中小企業にとって節目の日になります。カスタマーハラスメント対策の義務化、インボイス経過措置の控除率引き下げ、最低賃金の改定(発効見込み)、そして社会保険の適用拡大という4つの制度変更が、この日に集中しているためです。どれも「知らなかった」では済まず、しかも準備に使えるのは実質8月と9月だけ。この記事では、4つそれぞれの変更点と必要な準備、そして限られた2か月の優先順位を整理します。

一覧:10月1日に何が変わるか

① カスハラ対策の義務化:記録の仕組みが核心

改正労働施策総合推進法により、カスハラから従業員を守る措置がすべての事業主の義務になります。求められるのは、方針の明確化と周知、相談体制の整備、相談への適切な対応と記録、被害者への配慮、再発防止の5つ。刑事罰はありませんが、行政の助言・指導・勧告の対象となり、実務上は「対応した証拠を残せるか」がすべてです。

準備の中身と記録様式の作り方は、カスハラ義務化の詳細解説記事にまとめました。「方針・窓口・記録様式」の3点にしぼれば、数時間あれば土台が作れます。

② インボイス経過措置:80%→70%と「日付またぎ」

免税事業者など適格請求書発行事業者以外からの仕入れについて、仕入税額相当の80%を控除できる経過措置が9月30日で終わり、10月1日以降は70%になります。以降も50%(2028年10月〜)、30%と段階的に縮み、最終的にゼロになる前提のスケジュールです。

実務上の注意は2つあります。ひとつは日付またぎの判定。9月末納品と10月初納品が混在する請求書では、仕入日ベースで80%と70%が分かれます。月次でまとめて処理している場合、10月分の処理ルールを経理担当と事前に確認しておいてください。もうひとつは、控除の上限が「1事業者あたり年10億円超」から「1億円超」に縮小されること。該当規模の事業者は影響額の試算が必要です。

また、免税事業者との取引条件を見直す場合は、一方的な価格引き下げが下請法・独占禁止法上の問題になり得る点にも注意が必要です。

③ 最低賃金の改定:発効日までに「全員の時給確認」

2026年7月28日、中央最低賃金審議会が示した目安は55円の引き上げ(Aランク54円・B/Cランク56円)。目安どおりなら全国加重平均は1,121円→1,176円になります。この時点では目安(答申)であり、8月に各都道府県の審議会が確定額を決め、10月頃に都道府県ごとに順次発効します(発効日は県によって異なります)。

事業主がやるべきことはシンプルですが、量があります。

なお、賃上げ原資の支援策として業務改善助成金(事業場内最低賃金の引き上げ+設備投資に対する助成)の令和8年度受付が9月1日に開始されます(厚生労働省公表)。要件・コースの詳細は厚労省の一次情報をご確認ください。

④ 社会保険の適用拡大:「106万円の壁」がなくなる

年金制度改正法(令和7年法律第33号)により、短時間労働者が社会保険に加入する要件のうち、月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃されます。これがいわゆる「106万円の壁」です。撤廃後、従業員51人以上の企業では、週20時間以上働く人は月収の多寡にかかわらず加入対象になります。壁は「106万円」から「週20時間」へ移った、と考えると分かりやすいです。

施行後の加入要件は次の4つです。

企業規模の要件は今回で終わりではありません。2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、そして2035年10月にはすべての事業所が対象になる予定です。今回51人未満で対象外だった会社にも、いずれ順番が回ってくる予定です。

実務としてやることは3つです。まず週20時間以上働いている短時間労働者を洗い出し、新たに加入対象になる人を特定します。次に対象者について、要件を満たした日から原則5日以内に年金事務所へ被保険者資格取得届を提出します。そして雇用契約書・就業規則の見直しと、本人への説明です。

この4つ目が、人件費に最も直接効きます。社会保険料は労使折半なので、対象者が増えればそのまま会社の負担増になります。8月のうちに「誰が対象になるか」と「いくら増えるか」を試算しておくことを強くおすすめします。なお、本人にとっては手取りが減る一方で将来の年金や傷病手当金が手厚くなる側面があり、説明なしに進めると不信につながります。就業調整の希望を含め、早めに話しておくほうが結果的に揉めません。

8月・9月の優先順位

4つを同時に完璧にやるのは、中小企業の体制では現実的でありません。おすすめの順番はこうです。

従業員51人未満の会社は、今回は社会保険の対象外です。その場合は従来どおり「最低賃金→カスハラ→インボイス」の順で構いません。

共通する本質:制度対応は「記録が残る仕組み」で軽くなる

4つの制度に共通するのは、対応そのものより「対応したことを示す書類・記録」が発生する点です。カスハラは周知と対応の記録、最低賃金は賃金台帳と契約書の改定、インボイスは仕入の区分管理、社会保険は対象者の一覧と本人へ説明した記録。紙や口頭で始めると、必ずどこかで「やったのに証明できない」が起きます。最初から、入力したら日付付きで残る形——スプレッドシートでも十分です——にしておくことが、秋を軽く乗り切る一番の近道です。

まとめ

2026年10月1日、カスハラ義務化・インボイス70%・最低賃金改定・社会保険の適用拡大の4つが同時に動きます。10月1日は締切ではなくスタートで、準備できるのは8月と9月だけ。優先順位は「最低賃金と社会保険の試算を並行 → カスハラ → インボイス」。そして4つとも、核心は記録が残る仕組みづくりです。夏のうちに、着手だけでもしておきましょう。

※本記事は2026年8月2日時点の公表情報にもとづきます(初出2026年7月31日、社会保険の適用拡大を追記)。最低賃金は答申(目安)段階であり、確定額・発効日は各都道府県労働局の公示が正です。社会保険の適用拡大の要件・施行日は日本年金機構および厚生労働省の公表内容が正です。制度の詳細は厚生労働省・国税庁・日本年金機構の一次情報をご確認ください。本記事は一般的な情報整理であり、税務・労務の個別判断は専門家にご相談ください。

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