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2026-09-12

補助金は363件あるのに、自分の県で使えるのは20件ほどでした|47都道府県ぶん数えた結果

補助金を探そうとして、国のポータルや県のサイトを開く。数百件が日付順に並んでいる。上から読んでいくと、聞いたことのない事業名が続く。10件ほど読んだところで、自社に関係あるものが1件も出てこない。そのまま閉じる。

「探し方」を解説した記事はたくさんあります。検索ツールを使いましょう、キーワードで絞りましょう、と書いてあります。ただ、探しにくさが実際にどれくらいなのかを数えた記事を、私は見つけられませんでした。

そこで数えました。デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「jGrants」の公開APIから受付中の案件を取り、47都道府県それぞれについて、その県の中小企業が実際に申請できるものが何件あるかを出しています。以下の数字はすべて2026年9月12日6時22分時点の実測です。

先に結論だけ
① 受付中は363件。そのうち自分の県で使えるのは中央値20件。29県が20件以下
② 東京都だけが113件と桁違い。最小は19件で、その差は約6倍
③ 埼玉県の場合、363件が34件になる。落ちる128件の大半は「中小向けと読めない」もの
④ 全47都道府県に共通して出てくる国の制度は12件しかない。「全国の補助金」の実体はこの数
⑤ 締切で並べ替えると通年募集が消える。索引235件のうち72件が締切1年以上先

1. 自分の県で使えるのは、中央値で20件でした

まず全体像です。横軸が47都道府県、縦軸がその県の中小企業が使える件数です。

47都道府県ごとの中小企業が使える補助金の件数。東京都113件が突出し、29県が20件以下
都道府県ごとの「中小企業が実際に使える補助金」の件数(2026年9月12日6時22分時点・Khorai集計)

東京都が113件で突出しています。次が埼玉県34件、愛知県33件、福岡県32件。ここから先は一気に落ちて、29県が20件以下に固まります。最小は19件で、これが16県ありました。

平均は23.7件ですが、この数字にはあまり意味がありません。東京都1つで平均が引き上げられているからです。実態を表すのは中央値の20件のほうです。

ここで分かることが1つあります。「補助金が数百件ある」という話と、「自分の会社が申請できるものがある」という話は、別だということです。東京都以外の会社にとって、選択肢は最初から20件前後しかありません。

自分の県の数字を先に見たい方へ
都道府県を選ぶと、その県で受付中のものだけが締切の近い順に出ます。毎晩自動で取り直しているので、その日の実数が出ます。→ khorai.jp/hojokin/

2. 363件が34件になるまでを、3段に分けて見る

では、363件はどこで減るのか。埼玉県を例に、絞り込みの過程を出します。

363件が埼玉県の会社が使える34件になるまでの3段と、落とした128件の内訳
363件が34件になるまで。落とした128件の内訳は中小向けと読めない115件・国の大型研究開発13件

1段目。363件から162件へ。他県だけが対象の案件を落としています。201件が落ちました。これがいちばん大きく減る段で、しかも読む前に機械的に落とせます。県のサイトではなく国のポータルを開いた人が最初にぶつかるのは、ここです。

2段目。162件から34件へ。128件を落としています。内訳は「中小向けと読めない」が115件、「国の大型・研究開発」が13件です。

落とした128件の中身

実データを見ていて分かったことがあります。「全国」が対象になっている案件の多くは、中小企業が使うものではありません。上限が1億円を超える国のエネルギー事業や研究開発事業が並んでいます。従業員10人の建設会社が、この枠に応募することは一生ありません。

一方で、都道府県や市区町村が出している案件は、ほぼそのまま使えます。地域の中小企業に向けて作られているからです。つまり地域の粒度で切るのが、いちばん効く絞り込みです。

残る問題は「全国」の扱いです。ここは名称と実施機関を見て、中小企業・小規模事業者・持続化・業務改善・事業承継といった語があるもの、または従業員数の上限が設定されているものだけを残しました。この判定で115件が落ちています。

3. 「全国で使える補助金」は、12件しかありません

もう1つ、数えて意外だったことがあります。

47都道府県すべてのページに同じものが出てくる案件は、12件だけでした。これが「全国どこの会社でも使える、締切のある補助金」の実体です。

言い換えると、沖縄県の19件のうち12件は全国の制度で、その県だけのものは7件ということになります。東京都の113件から12件を引けば101件が東京都独自、埼玉県なら22件が埼玉県独自です。

この構造が分かると、探し方が変わります。国のポータルだけを見ていても、出てくるのはほぼ同じ12件です。差がつくのは、自分の都道府県と市区町村が出しているぶん。そこを見に行かないと、数は増えません。

その12件の顔ぶれ

どの県でも同じように出てくる12件を、締切の近い順に並べておきます。名前を知っておくだけでも、探す時間は減ります。

並べてみると分かることがあります。「ものづくり補助金」だけで4件を占めています。同じ制度の締切回が別々の案件として登録されているためです。制度の数でいえば、全国で使えるものは実質7〜8種類ということになります。

この7〜8種類は、名前を聞いたことがある方も多いと思います。逆に言うと、「聞いたことのある補助金」以外を探すなら、自分の地域を見るしかありません。

4. 締切で並べ替えると、通年募集が消えます

実装していて引っかかった罠も書いておきます。探す側にも関係する話です。

jGrantsのAPIには締切で並べ替える指定がありますが、これを使うと締切が設定されていない案件が結果から落ちます。通年で受け付けているものや、随時募集のものが消えます。並べ替えの指定を外して、自分の側で並べ直す必要がありました。

そして締切が1年以上先の案件が、索引235件のうち72件ありました。これは実質的に通年受付です。事業再構築の交付申請のように、2032年まで期限があるものもあります。こうしたものを「締切まであと2,000日」と表示しても意味がないので、締切のあるものとは分けて扱っています。

探す側としては、「締切が近い順」に並んでいる一覧を見て、そこに全部が載っていると思わないことです。締切のない案件は、別の場所にいます。

5. 自分で数えるなら、ここでつまずきます

jGrantsの公開APIは認証キーが要りません。URLを叩けばJSONが返ります。ただ、そのままきれいに使えるわけではないので、実際に引っかかった点を残しておきます。

キーワードが必須で、1語では取りこぼす

キーワードなしでは検索できません。そして1語では足りません。「補助金」だけで検索すると259件ですが、「助成金」「支援」「事業」「給付金」「委託」「公募」を足して重複を除くと363件になりました。100件以上が1語では見えていないことになります。

公募要領のPDFが、本文の中に入っている

詳細を取ると、公募要領のPDFが文字列としてまるごと埋め込まれて返ってきます。1件で34MBあるものがありました。全件そのまま保存すると625MBです。必要な項目だけ残す形にして、457KBまで落としました。

対象地域がスラッシュで並ぶ形式がある

対象地域が「茨城県 / 栃木県 / 群馬県 …」とスラッシュ区切りで並ぶ案件があります。県名で単純に一致を見ると、この形式のものが全部落ちます。埼玉県で11件、拾い損ねていました。締切まで5日の助成金が混ざっていたので、気づけてよかったところです。

6. 探すときの手順

ここまでの実測を、探す側の手順に直すとこうなります。

最後がいちばん続きません。だから私は、これを毎晩自動で取り直す形にしました。

7. 毎晩作り直しているページがあります

ここまでの絞り込みを、47都道府県ぶん毎晩自動で実行して、公開しています。都道府県を選ぶと、受付中のものだけが締切の近い順に並びます。締切が過ぎたものは翌朝には消えています。手で更新している部分はありません。

落とした件数と理由も、各ページに書いてあります。「363件のうち128件を落として34件にしました。内訳は…」という形です。絞ったことが価値なので、何を落としたかを隠さないようにしています。

https://khorai.jp/hojokin/

申請の代行と、採択の保証はしません。そこは社会保険労務士や中小企業診断士、管轄の窓口の仕事です。私がやっているのは、読む行を減らすところまでです。

よくある質問

Q. なぜ県によって件数が違うのですか
国の制度はどの県にも同じものが出ますが、都道府県や市区町村が独自に出している制度の数が違うためです。東京都が113件と多いのは、東京都と23区がそれぞれ制度を持っているからです。

Q. 19件しかない県は、不利ということですか
件数と使いやすさは別です。件数が少ない県でも、その県だけの制度が7件あります。むしろ競争相手が少ない可能性もあります。ここでは「数百件あるように見えて、実際に読むべきは20件前後」という点だけをお伝えしています。

Q. この数字は毎日変わりますか
変わります。上の数字は2026年9月12日6時22分時点のものです。直近5日では受付中の総数が360〜364件の範囲で動いていました。

Q. 載っていない制度があります
jGrantsに登録され、受付中になっているものだけを見ています。自治体の広報にしか出ていない制度や、商工会議所が独自に案内しているものは、ここには出てきません。

まとめ

補助金の一覧が探しにくいのは、量が多いからではありません。量の大半が自分と関係ないからです。363件のうち、自分の県で読むべきは中央値で20件。そこまで落とせば、全部読めます。

そして落とす基準のうち、いちばん効くのは地域です。読む前に機械的に落とせて、201件が消えます。次に効くのが規模と用途で、ここで128件。残った34件が、実際に検討する対象になります。

「探し方」で悩んでいる方に届けばと思って、実測をそのまま出しました。

期限のある情報を、人が覚えていなくても回る形にしませんか。

公開データの定期取得、差分の検知、締切の通知、報告書の自動集計まで。「今どの情報を手で追いかけているか」を教えていただければ、できる・できないを正直にお返しします。

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