1月の最後の週。年末調整が終わってほっとしたところに、給与支払報告書が残っています。社員が住んでいる市区町村ごとに分けて出す書類なので、社員が何十人もいると、どこに何枚出したかが分からなくなります。気づいたら、1つの市にだけ出し忘れていた。期限を過ぎてしまったとき、何が起きて、今日何をすればいいかを、この記事で整理します。
先に結論です。給与支払報告書の期限は1月31日ですが、2027年は1月31日が日曜日なので、2月1日(月)までです。過ぎてしまったら、連絡より先に、まず出します。遅れるほど、社員の住民税の払い方に響くからです。

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給与支払報告書の期限は1月31日。2027年は2月1日(月)まで
給与支払報告書は、前の年に払った給与の額などを、社員が住んでいる市区町村に知らせる書類です。市区町村は、これをもとに住民税の額を決めます。
地方税法第317条の6第1項は、1月1日の時点で給与を払っている会社は、1月31日までに、社員の1月1日現在の住所がある市区町村ごとに給与支払報告書を作って出す、と定めています。
期限が休日に当たるときは、翌日に延びます。地方税法第20条の5第2項は、期限が日曜日や祝日などの休日に当たるときは翌日を期限とみなす、と定めています。延びる日には、土曜日と12月29日〜31日も含まれます(同法施行令第6条の18)。この施行令には延長しない期限の一覧もありますが、給与支払報告書の期限は入っていません。
- 2027年:1月31日は日曜日なので、2月1日(月)まで
- 2026年:1月31日は土曜日でした。目黒区や江東区は「令和8年2月2日(月)まで」と案内していました
ただ、延びた1日をあてにするより、1月中に出し終える段取りで進めるほうが安全です。年末調整の直後で、事務がいちばん詰まる時期だからです。
期限を過ぎたら、何が起きるか
期限を過ぎて出しても、受け付けてはもらえます。困るのは、住民税の決まり方が後ろにずれることです。自治体の案内では、次のように書かれています。
- 税額の通知が遅れる:提出が遅くなると、住民税の税額通知の発送が遅れます(鹿児島市)。課税を決める時期が遅れる場合があります(目黒区)
- 払う回数が減り、1回が重くなる:通知が遅れたぶん、年税額を払う回数が減り、1回あたりの納付額や給与から引く額が大きくなります(鹿児島市)
- 5月の決定通知に載らないことがある:期限後に届いたものは、5月に送る税額決定通知書に含まれないことがあります(江東区)
住民税は、会社が毎月の給与から引いて納める形(特別徴収)が多いので、通知が遅れると会社の給与計算にも影響します。いちばん困るのは社員本人で、ある月から急に引かれる額が増えることになります。
罰則の条文もあります。地方税法第317条の7は、出すべき給与支払報告書を出さなかったとき、またはうその記載をして出したときは、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定めています。会社の業務として行った場合は、会社にも罰金が科されます(同条第2項)。出し忘れに気づいたら、そのままにしないことが大切です。
期限に遅れたとき、今日やること
- 出していない提出先を洗い出す:社員一覧から、提出先の市区町村ごとに「出す人数」と「出した日」を並べます。全部遅れているのか、1つの市だけ漏れているのかで、やることの量が変わります
- まず出す:江東区は、間に合わない場合に遅れる旨の連絡は不要と案内しています。連絡の要否は自治体ごとに違うことがあるので、提出先の案内を見たうえで、とにかく早く出します
- 郵送なら届く日で考える:地方税法第20条の5の3には、郵便で出した申告などの書類は消印の日に出したものとみなすという定めがあります。ただ、給与支払報告書がこれに当たるかは、条文だけでは言い切れません。郵送するなら期限までに届くように出し、消印の扱いは提出先の案内で確かめるのが安全です
- 社員に一声かけておく:遅れた市区町村に住む社員は、住民税の通知が遅れ、引かれる額が増える月が出るかもしれません。先に伝えておくと、問い合わせが減ります
- 来年の段取りを決める:どこで漏れたかを1行メモしておきます。多くは「社員一覧の住所が古かった」か「最後に数えなかった」のどちらかです
提出先は「1月1日に住んでいる市区町村」
給与支払報告書でいちばん間違えやすいのが、提出先です。会社の所在地ではなく、社員がその年の1月1日に住んでいる市区町村に出します(地方税法第317条の6第1項)。
- 年末に引っ越した社員:1月1日の時点の住所で決まります。12月に引っ越していれば、新しい住所の市区町村です
- 年の途中で辞めた社員:辞めた年の翌年1月31日までに、辞めた日に住んでいた市区町村へ出します(同条第3項)
- 社員が多くの市区町村に分かれている会社:提出先が10か所、20か所に増えると、1か所の出し忘れが起きやすくなります
出し忘れの原因は、たいてい作業の最後にあります。給与ソフトで書類を作るところまではできていても、どの提出先に何枚出したかを、最後に数えていないのです。
出さなくていい人、出し忘れやすい人
- 出さなくていい:年の途中で辞めた人のうち、その年に払った給与の総額が30万円以下の人(地方税法第317条の6第3項ただし書)
- 出し忘れやすい:給与が2,000万円を超えて年末調整をしない人も、給与支払報告書は必要です(目黒区の案内)。年末調整の対象から外れるので、給与支払報告書の束からも抜けがちです
- 4月15日にもう1回:1月に出した人のうち、4月1日の時点で辞めている人がいれば、4月15日までにその旨の届出書を出します(同条第2項)。住民税を給与から引く相手がいなくなるためです
紙で出すか、電子(eLTAX)で出すか
前々年に税務署へ出すべきだった源泉徴収票などの枚数が100枚以上の会社は、源泉徴収票を電子(e-Taxなど)か光ディスクで出す義務があります(所得税法第228条の4第1項)。この義務がある会社は、給与支払報告書も、地方税の電子申告(eLTAX)を使って地方税共同機構を経由して出すか、光ディスクなどで出さなければなりません(地方税法第317条の6第5項)。
それより少ない会社は紙でも出せますが、提出先が多い会社ほど、電子で出すと封筒と宛先の手間が減ります。紙で出す場合も、電子で出す場合も、提出先ごとに出したかどうかを記録しておくことは同じです。
提出先ごとに枚数と提出状況を数えるExcel
出し忘れを防ぐいちばん簡単な方法は、社員一覧に「提出先の市区町村」と「出すかどうか」の列を足し、提出先ごとに数えることです。

社員一覧の「提出」の列は、次の数式で出しています。
=IF(AND(C5="退職",E5<=300000),"不要","提出")
提出先別のシートでは、市区町村ごとに出す人数を数えます。
=COUNTIFS(社員一覧!$D$5:$D$14,A6,社員一覧!$F$5:$F$14,"提出")
あとは、提出先ごとに「発送・送信した日」を入れるだけです。日付が空いている提出先は「未提出 あと○日」と赤く表示され、出す人がいない提出先は灰色になります。最後に赤が0行になっていれば、出し忘れはありません。
作るときのコツが3つあります。
- 住所は「1月1日現在」で持つ:年末に住所変更の届けを集め、1月1日の時点の住所に直してから数えます
- 退職者も同じ一覧に残す:消してしまうと、30万円を超えた退職者の提出が漏れます
- 数える範囲は最終行まで:社員が増えたときに数式の範囲から外れないよう、範囲を最終行まで取っておきます
今お使いの給与ソフトや社員一覧はそのままに、提出先ごとの人数・提出状況・期限までの日数を1画面で見られる形にします。データは御社のアカウント内に置き、月額0円の買い切りが基本です。
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Q. 給与支払報告書の期限が土日の場合はどうなりますか?
期限の1月31日が土曜日・日曜日・祝日に当たるときは、その翌日が期限になります(地方税法第20条の5第2項)。土曜日のほか12月29日〜31日も同じ扱いです(同法施行令第6条の18)。2027年は1月31日が日曜日なので、期限は2月1日(月)です。2026年は1月31日が土曜日で、目黒区や江東区は2月2日(月)までと案内していました。
Q. 給与支払報告書の期限を過ぎたら、市区町村に連絡が必要ですか?
江東区は、間に合わない場合に遅れる旨の連絡は不要と案内しています。ただし、期限後に届いたものは5月に送る税額の決定通知に含まれないことがあるため、できるだけ早く出します。連絡の要否は自治体ごとに案内が違うことがあるので、提出先の案内を確認してください。
Q. 給与支払報告書の郵送は消印有効ですか?
地方税法第20条の5の3は、郵便で出した申告などの書類は消印の日に出したものとみなすと定めていますが、給与支払報告書がこれに当たるかは条文だけでは言い切れません。期限までに届くように出し、消印の扱いは提出先の自治体の案内で確認するのが安全です。
Q. 年の途中で退職した人の給与支払報告書はどうしますか?
辞めた年の翌年1月31日までに、辞めた日に住んでいた市区町村へ出します。その年に支払った給与の総額が30万円以下の人は、出さなくてかまいません(地方税法第317条の6第3項)。
Q. 給与支払報告書を出さないと罰則はありますか?
出すべき給与支払報告書を出さなかったとき、またはうその記載をして出したときは、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています(地方税法第317条の7)。会社の業務として行った場合は、会社にも罰金が科されます。
まとめ
給与支払報告書の期限は1月31日で、2027年は1月31日が日曜日なので2月1日(月)までです。提出先は会社の所在地ではなく、社員が1月1日に住んでいる市区町村で、年の途中で辞めた人は辞めた日の住所の市区町村です。期限を過ぎると、税額の通知が遅れ、社員の住民税を払う回数が減って1回あたりの額が重くなり、5月の決定通知に載らないこともあります。過ぎてしまったら、まず出していない提出先を洗い出し、早く出します。来年からは、社員一覧に提出先と提出の要否の列を足し、提出先ごとに数えて、赤い行が0になったら終わりにしておけば、出し忘れは起きません。
出典:地方税法 第20条の5・第20条の5の3・第317条の6・第317条の7、地方税法施行令 第6条の18、地方税法施行規則、所得税法 第228条の4(e-Gov法令検索、2026年10月3日に取得した版)。目黒区「給与支払報告書の提出について」、江東区「給与支払報告書の提出について」、鹿児島市「よくある質問(給与支払報告書の提出期限を過ぎてから提出しても大丈夫ですか)」。本記事は2026年10月3日時点の条文と自治体の案内にもとづく一般的な整理です。提出方法や消印の扱いは、提出先の市区町村の案内をご確認ください。画面の氏名・住所・金額は架空のサンプルです。