月末に台帳と伝票を突き合わせていたら、D票が1枚ない。ファイルをめくっても、机の引き出しにもない。「再発行してもらえるのか」「行政に届けるのか」「放っておいたら罰則があるのか」。この順番で検索する方が多いので、その順番で答えます。結論は3行です。再発行はできない。相手方が保管している票の写しをもらって補完する。いつ・どの票を・どう補完したかを台帳に残す。この記事では、失くした票がどれかで頼む相手が変わる対処表、写しの頼み方と備考欄の書き方、未使用票の紛失、「返ってこない」との違い、5年の保存義務と罰則、立入検査で聞かれる3点、そして紛失に翌日気づく台帳の持ち方まで整理します。
結論:再発行はできない。写しで補完し、経緯を記録する
紙のマニフェストは、産業廃棄物を引き渡すと同時に交付する複写式の連番伝票です。廃棄物処理法12条の3第1項は「当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に」交付すると定めていて、後日、同じ番号の票を作り直す仕組みは法律にも実務にもありません。大阪府のマニフェスト制度FAQも「後日再交付することはできません」と明記し、処理業者の手元に残っている票をコピーして使うなど、状況に応じた対応を求めています。
ここで大事なのは、紛失した票が「誰かの手元には残っている」ということです。マニフェストは7枚複写で、同じ内容の票を排出事業者・収集運搬業者・処分業者がそれぞれ持っています。自分が失くした票と同じ内容を持っている相手を特定して、その写しをもらう。これが対応のすべてです。
そして写しをもらったら、写しの余白または備考欄と、自社の台帳の両方に、いつ・どの票を・どういう経緯で紛失し・誰から・いつ写しをもらって補完したかを残します。立入検査や監査で「この票はコピーですね」と言われたときに、その場で説明できる状態にしておくためです。
失くした票はどれか:票別の対処表
直行用の7枚複写(A・B1・B2・C1・C2・D・E)を前提に、排出事業者が失くしやすい票と、写しをもらう相手をまとめます。
| 失くした票 | 本来の役割 | 同じ内容を持っている相手 | 頼むこと |
|---|---|---|---|
| A票 | 交付時の自社控え。交付日から5年保存 | 収集運搬業者(B1票)、処分業者(C1票) | B1票かC1票の写し。返送済みのB2・D・E票が手元にあれば、交付時の記載はそれでも確認できる |
| B2票 | 運搬終了の報告。受領日から5年保存 | 収集運搬業者(B1票) | B1票の写し。運搬終了日の記載があるものを |
| D票 | 処分終了の報告。受領日から5年保存 | 処分業者(C1票)、収集運搬業者(C2票) | C1票の写し。処分終了日の記載があるものを |
| E票 | 最終処分終了の報告。受領日から5年保存 | 処分業者(C1票に最終処分終了の記載) | 最終処分終了の記載があるC1票の写し。中間処理を経ている場合は、二次マニフェストのE票が中間処理業者に戻っているかも併せて確認 |
| 未使用の白紙 | まだ交付していない連番伝票 | 誰も持っていない | 次の節へ |
処理業者側が失くすこともあります。大阪府のFAQは、処分業者がD票・E票を紛失した例として、C1票をコピーし備考欄に事情を記載して使う方法を挙げています。相手から「そちらの控えの写しをください」と頼まれたら、同じ考え方で応じます。
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写しの頼み方と、備考欄・台帳に残すこと
電話で頼んで終わりにせず、伝票番号を書いたメールかFAXで依頼します。相手が探すのは番号なので、番号がないと探せません。依頼文はこれで足ります。
マニフェスト番号 ○○○○○○○○○○○(交付日 2026年○月○日、廃棄物の種類 ○○)のD票を当社で紛失しました。貴社保管のC1票の写しを、処分終了日の記載が分かる形でご送付いただけますか。写しは当社の保存用として、経緯を付記して保管します。
写しが届いたら、次の4つを残します。
- 写しの余白か備考欄に「原本紛失のため○年○月○日に△△(相手方)保管のC1票の写しで補完」と1行
- 台帳の該当行に、紛失に気づいた日、紛失した票、写しをもらった相手と日付、依頼したメールの日付
- 紛失の経緯が分かるなら一言(「現場事務所から本社への移送時に不明」など)。分からなければ「経緯不明」と書く
- 同じ交付日の前後の番号も確認した結果(「前後3枚は所在確認済み」)
「経緯不明」と書くことに抵抗があるかもしれませんが、分からないことを分からないと記録してある方が、後から取り繕った記録より信用されます。
交付日と種類を入れると、B2・D票の90日、E票の180日、特管の60日、5年保管を自動で計算し、期限超過を赤、30日以内を黄で知らせます。紛失や写しでの補完を書くメモ列もあります。
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交付前の票には処理の記録が何もないので、写しで補完する話にはなりません。問題は別で、連番の伝票が第三者の手に渡ると、他社の廃棄物の交付に使われる恐れがあることです。やることは3つです。
- 紛失した伝票番号の範囲を控える(購入時の控えや、直前に使った番号から特定する)
- 購入した協会や販売元、管轄の自治体に「この番号帯を紛失した」と相談する。届出の様式があるかは自治体によって違うので、電話で確認する
- 自社の台帳に「この番号帯は紛失・未使用」と記録し、以後その番号で交付しない。年1回の交付等状況報告書の枚数にも入れない
「返ってこない」と「紛失」は別の話
ここが混ざりやすいところです。紛失は、一度手元に来た票を失くしたこと。返ってこないのは、そもそも相手から送付されていないこと。法律の扱いが違います。
返ってこない場合には期限があります。B2票とD票は交付日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、E票は交付日から180日(法12条の3第8項、施行規則8条の28)。期限内に写しの送付を受けなかったときは、処理の状況を把握して必要な措置をとり、期限が過ぎた日から30日以内に措置内容等報告書を都道府県知事に出します(施行規則8条の29)。手順は返送期限まとめの記事に書いています。
一方、紛失には届出の規定がありません。だから「紛失したら行政に報告するのか」への答えは、原則として「報告の義務はない。写しで補完して記録する」です。ただし、紛失した票が多い、処理が終わったか確認できない、相手が写しを出してくれない、といった場合は、管轄の産業廃棄物担当課に相談したほうが安全です。
もう1つ、混ざると困るのが「返ってきていたのか、来ていなかったのか分からない」状態です。返送日を台帳に書いていないと、失くしたのか届いていないのかが分からず、期限超過の30日を見過ごすことになります。次の節の罰則は、ここに効いてきます。
保存義務と罰則:5年、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
管理票交付者(排出事業者)には2つの保存義務があります。
- 交付した管理票の写し(A票)を、交付した日から5年保存する(法12条の3第2項、施行規則8条の21の2)
- 送付を受けた管理票の写し(B2・D・E票)を、送付を受けた日から5年保存する(法12条の3第6項、施行規則8条の26)
収集運搬業者と処分業者にも、送付した日や送付を受けた日から5年の保存義務があります(第9項・第10項、施行規則8条の30・8条の30の2)。だから相手方に写しを頼めるわけです。
罰則は法27条の2にまとまっています。
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。(中略)五 第十二条の三第二項、第六項、第九項又は第十項の規定に違反して、管理票又はその写しを保存しなかつた者
— 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第27条の2(e-Gov法令検索。2025年6月の刑法改正で「懲役」は「拘禁刑」になっています)
同じ条文の中に、交付しなかった者、写しを送付しなかった者、虚偽の記載をした者も並んでいます。紛失そのものを罰する規定ではなく、保存しなかった状態を罰する規定です。だから、写しで補完して経緯を記録してあることが、そのまま「保存の義務を果たそうとした」説明になります。一番よくないのは、失くしたことに気づきながら、写しも取らず記録も残さず放置することです。
立入検査で聞かれる3つ
自治体の立入検査で、紛失した票について聞かれることは大きく3つです。
- その廃棄物は最後まで処理されたか。写しに処分終了日・最終処分終了日の記載があれば答えられます。写しに記載がなければ、相手に確認した記録を出します
- いつ気づいて、何をしたか。台帳の紛失メモがそのまま答えになります。「気づいた日」と「写しをもらった日」の間が短いほど、管理ができている印象になります
- 同じことが他の票でも起きていないか。前後の番号を確認した記録と、台帳全体で「返送日が空欄の行」がないことを見せます
3つ目が一番答えにくい質問です。紛失した1枚の話ではなく、台帳の作り方の話になるからです。
照合確認欄を、紛失に翌日気づく道具にする
手元に残すA票には「照合確認」の欄があります。B1・B2・D・E票が返送されてきたら、A票の番号や記載事項と照らし合わせ、確認した日付を書いて、確認者が検印を押す欄です。建設マニフェスト販売センターの記入方法の案内では、確認者は交付担当者以外の社員でもかまわないとされています。
票ごとに見るところは決まっています。
- B1票:収集運搬を2社に委託したときだけ返送されます。1社目の運搬が終わり、2社目に引き渡されたことを確認します。1社委託なら返送されないので、欄は斜線で消します
- B2票:運搬終了日と、処分業者に間違いなく引き渡されたこと
- D票:処分終了日。中間処理が終わったこと
- E票:最終処分終了日と、最終処分を行った場所が予定の場所と違わないこと
自社で運搬した場合は、B1・B2票を使わないので、その欄は斜線で消します。
紛失との関係で大事なのは、返送された日のうちに照合確認欄を埋めることです。返送された票を「あとでまとめて」ファイルに挟むと、届いたのか届いていないのかが月末まで分かりません。その日に埋めていれば、日付が空いている欄が、そのまま「まだ返ってきていない票」の一覧になります。そこに返送期限を並べれば、紛失にも、返送の遅れにも、同じ日に気づけます。
紛失は「探す」ものではなく「翌日に気づく」もの
紛失に気づくのは、たいてい月末の突き合わせか、年1回の交付等状況報告書を作るときです。そのときには、失くしてから数週間から数か月たっていて、経緯はもう誰も覚えていません。
台帳の持ち方を1つ変えると、これが翌日に変わります。返送された票をその日のうちに台帳に記録し、台帳の側で「返送日が空欄の行」を毎日見る。返送されたはずの票が台帳に記録されていなければ、それは「届いていない」か「届いたのに失くした」かのどちらかで、どちらにしても翌日には分かります。票の物理管理(ファイル)とデータ管理(台帳)を分けて、台帳を主にする。それだけです。
この形にしておくと、紛失以外の困りごとも同じ画面で片づきます。90日・180日の期限が近い票、期限を過ぎた票、そして年1回の報告書の集計。全部「台帳に返送日が入っているか」の問題だからです。
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Q. 紛失したマニフェストは再発行してもらえますか?
できません。マニフェストは引渡しと同時に交付するもので(法12条の3第1項)、後から同じ番号の票を作り直す仕組みがありません。相手方が保管している票の写しをもらい、備考欄と台帳に経緯を残します。
Q. 紛失したら行政に届け出る必要がありますか?
紛失そのものを届け出る規定はありません。措置内容等報告書が要るのは、期限内に写しの送付を受けなかったときなどで(法12条の3第8項、施行規則8条の29)、紛失とは別です。大量紛失や処理が確認できない場合は管轄の担当課に相談してください。
Q. 紛失したまま放置するとどうなりますか?
A票は交付日から5年、B2・D・E票は受領日から5年の保存義務があり(法12条の3第2項・第6項)、保存しなかった者は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(法27条の2第5号)。写しで補完して記録しておけば、保存の努力をした説明ができます。
Q. 未使用の白紙マニフェストを紛失した場合は?
番号の範囲を控え、協会や販売元、管轄自治体に相談し、台帳に「この番号帯は紛失・未使用」と記録して以後使わないようにします。
Q. 電子マニフェスト(JWNET)なら紛失はありませんか?
紙の紛失は起きません。ただし処理業者側の報告が期限内に入っているかを確認する義務は残ります。紙と併用している場合は紙の分だけ台帳で見張ります。電子には紙にはない「引渡し後3日以内の登録」の期限があります。数え方は電子マニフェストの3日以内の記事をご覧ください。
Q. 紛失したマニフェストはコピーで代用できますか?
自社で取っておいたコピーがあれば、紛失の経緯の記録と一緒に保管しておく価値はあります。ただ、コピーは票そのものの代わりにはならないと考えてください。相手方(収集運搬業者・処分業者)が保管している票の写しをもらい、備考欄と台帳に経緯を残して補完するのが基本です。扱いに迷う場合は、管轄の都道府県・政令市に確認してください。
Q. 照合確認欄には何を書きますか?
B1・B2・D・E票が返送されたら、A票の番号や記載事項と照らし合わせ、確認した日付を記入して、確認者が検印を押します(サインでも構いません)。B1票は収集運搬を2社に委託したときだけ返送され、自社運搬ならB1・B2票は使わないので、その欄は斜線で消します。
まとめ
マニフェストを紛失しても再発行はできません。やることは、失くした票と同じ内容を持っている相手(A票ならB1・C1票、B2票ならB1票、D票ならC1票、E票なら最終処分終了の記載があるC1票)から写しをもらい、写しの備考欄と台帳に経緯を残すことです。紛失を届け出る規定はなく、届出が要るのは「返ってこない」場合の措置内容等報告書(期限経過から30日以内)で、これは別の話です。保存義務は交付日または受領日から5年、保存しなかった場合の罰則は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法27条の2第5号)。そして、紛失に月末ではなく翌日に気づくには、返送日を台帳に入れて「空欄の行」を毎日見る形にしておくことです。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の3・第27条の2(e-Gov法令検索)/同法施行規則 第8条の21の2・第8条の26・第8条の27・第8条の28・第8条の29・第8条の30・第8条の30の2(e-Gov法令検索)/大阪府「マニフェスト制度(FAQ)」Q67/建設マニフェスト販売センター「よくある質問(マニフェストの記入について)」7-1〜7-7。本記事は2026年9月8日時点の条文にもとづく一般的な整理で、個別の判断は管轄の都道府県・政令市にご確認ください。