ブログ
記事一覧開発を相談する
2026-08-06

民泊の定期報告のやり方|偶数月15日締切・集計を楽にする宿泊者名簿の作り方

住宅宿泊事業(いわゆる新法民泊)を届け出ると、2ヶ月に1回の定期報告が義務になります。直近の締切は8月15日、対象は6月・7月分です。報告そのものはオンラインで数分で終わるのに、いざやろうとすると「あれ、先々月って何人泊まったっけ」と予約サイトの管理画面をさかのぼる作業が始まる——これが定期報告の正体です。この記事では、報告の基本ルールと、集計が一瞬で終わる宿泊者名簿の作り方を実務目線でまとめました。

定期報告の基本ルール

住宅宿泊事業法第14条に基づき、事業者は毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日までに、その前2ヶ月分の実績を都道府県知事等に報告します。報告は原則として民泊制度運営システム(届出に使ったオンラインシステム)から行います。

報告する項目は次の4つです。

🔧 集計だけ、仕組みにできます

この記事の後半に書くとおり、面倒の正体は報告そのものではなく集計です。宿泊者名簿から報告用の数字が自動で出る形に作り替えられます。今お使いの名簿を拝見して、できるかどうかを先にお答えします。できない場合はそう申し上げます。

相談してみる → 無料・ご相談だけでも構いません
業種を問わないお知らせ

実績ゼロでも報告は必要

見落としやすいのがここです。報告対象の2ヶ月間に一度も宿泊がなくても、「実績なし」としての報告義務があります。オフシーズンで営業していないつもりの期間も、廃業等の届出をしていない限り報告は続きます。「泊まっていないから今回はスキップ」は報告漏れになり、自治体からの督促や指導の対象になるので、ゼロの回こそ数分で済ませてしまいましょう。

数え方でつまずくのは、この3つです

報告する項目は「宿泊日数」「宿泊者数」「延べ宿泊者数」「国籍別の内訳」です。名前が似ているので、ここを取り違えたまま何年も報告している方がいます。

  • 宿泊日数… 泊まった日数です。人数は関係ありません。1日の数え方は正午から翌日正午までと決まっています
  • 宿泊者数… 期間中に泊まったのべ人数ではなく、予約ごとの人数を足したものです
  • 延べ宿泊者数… 各日の全宿泊者数を、報告期間ぶん足し合わせた数です。3人が2泊すれば6になります

宿泊者数と延べ宿泊者数は、別の数字です。ここを同じ数で出してしまうのが、いちばん多い間違いだと思います。

記入例:4月・5月分を実際に数えてみる

4月1日から5月31日までの2か月分(6月15日までに報告する分)を、架空の予約で数えてみます。

予約泊数人数国籍人泊(人数×泊数)
4/3 〜 4/52泊3名日本2・米国16
4/20 〜 4/211泊2名韓国22
5/10 〜 5/133泊4名日本412
5/28 〜 5/291泊2名台湾22
合計7日11人日本6・米国1・韓国2・台湾222人泊

報告するのは、宿泊日数 7日 / 宿泊者数 11人 / 延べ宿泊者数 22人泊です。

宿泊者数(11)と延べ宿泊者数(22)が倍以上ちがうのが分かると思います。連泊が多い月ほど差が開きます。同じ数を両方に入れていたら、どちらかが間違っています。

国籍別の内訳は、大阪市の手引きでは「国籍別の宿泊者数の内訳」と書かれています。ただし入力画面の項目名は自治体・システムの表示に従ってください。延べで求められる場合もあります。

報告しないと、30万円以下の罰金の対象です

観光庁の民泊制度ポータルサイトには、住宅宿泊事業者の罰則として「定期報告をしていない又は虚偽の報告をした者」に「30万円以下の罰金」と記載されています。

「実績がないから出さなくていい」ではありません。宿泊実績がない期間も「0日」で報告します。届出をしている限り、報告義務は続きます。

年6回、2か月に1回。1回あたりの作業は数分でも、忘れる回が出るのは仕組みが無いからです。

提出先は、自治体ごとに窓口が違います

報告は原則として民泊制度運営システムから行います。直接入力のほか、CSVファイルのアップロードにも対応しています。書面での報告も可能です。

書面やメールで出す場合、窓口は自治体ごとにばらばらです。たとえば大阪市は経済戦略局観光部観光課あて、千代田区は千代田保健所生活衛生課あてで、いずれもメール・郵送・窓口を受け付けています(千代田区は15日必着)。

「消印有効」なのか「必着」なのかも自治体で違います。郵送で出している場合は、一度だけ自治体のページで確認しておいてください。

期限を過ぎたことに気づいたら

15日を過ぎてから気づくこともあります。その場合もまず報告することが先です。自治体は届出住宅ごとに報告状況を把握しているので、放置すると指導の対象になります。

なお定期報告とは別に、年間の提供日数は180日が上限です。定期報告はこの日数を自治体が把握する手段でもあるため、報告を止めることは日数の管理を止めることでもあります。

面倒の正体は「報告」ではなく「集計」

報告画面の入力自体は数分です。時間を食うのは、その手前の集計作業です。典型的には、予約サイトの管理画面で2ヶ月分の予約を1件ずつさかのぼり、人数と泊数をメモに書き出して電卓で足す。複数のサイトに載せていれば、この作業がサイトの数だけ発生します。

さらにつまずきやすいのが数え方です。宿泊者数は「人数の実数」、延べ宿泊者数は「人数×泊数」。たとえば2人組が3泊したら、宿泊者数2人・延べ宿泊者数6人です。「宿泊させた日数」は予約件数でも泊数の合計でもなく、カレンダー上で誰かが泊まっていた日のユニークな日数。2組の予約が同じ夜に重なっていても(届出住宅が1つなら通常ありませんが)1日は1日と数えます。この3つを予約一覧から暗算で出そうとするから、毎回30分〜1時間が溶けるわけです。

集計が一瞬で終わる宿泊者名簿の設計

解決策はシンプルで、もともと作成義務のある宿泊者名簿を、報告から逆算した形で付けることです。名簿には宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日(外国人観光旅客はさらに国籍・旅券番号)の記載が必要です。これをスプレッドシートで次の列構成にします。

  • チェックイン日/チェックアウト日/泊数:泊数は日付の差で自動計算
  • 人数:その予約で泊まった人数
  • 国籍:プルダウンで選択式にしておくと表記ゆれが出ません
  • 氏名・住所・職業・旅券番号:法定の記載事項

予約1件を1行として積んでいくだけで、定期報告の4項目はすべて関数で出せるようになります。宿泊者数と延べ宿泊者数はSUMIFS(対象期間の人数の合計と、人数×泊数の合計)、国籍別内訳はピボットテーブル。「宿泊させた日数」だけは少し工夫が要りますが、日付を1日1行並べた小さなカレンダーシートを作り、その日に泊まりがあったかをCOUNTIFSで判定して数えれば自動化できます。チェックインのたびに1行足す。報告の日は、集計欄を読み上げて転記するだけ。これで2ヶ月ごとの憂鬱はなくなります。

忘れない仕組みまで作って完成

集計が楽になっても、締切自体を忘れては意味がありません。おすすめは、カレンダーアプリに「偶数月の10日」で繰り返し予定を登録しておくことです。15日ちょうどではなく数日前に設定しておくと、名簿の記入漏れに気づいてから直す余裕が生まれます。スプレッドシートで名簿を付けているなら、GAS(Google Apps Script)で偶数月の10日に集計値をメールやLINEに自動送信する仕組みも作れます。通知が来た時点で数字がもう出ている、という状態が理想です。

同じ形の通知を産業廃棄物の返送期限で作った例を、マニフェストの返送期限の記事に書いています。期限の何日前に、誰に、何を送るかの決め方は共通です。

よくある質問

Q. 宿泊実績がゼロの月も報告は必要ですか?
必要です。報告対象の2ヶ月間に宿泊がなくても「実績なし」として報告します。廃業届等を出していない限り、報告義務は続きます。

Q. 宿泊者数と延べ宿泊者数は何が違いますか?
宿泊者数は実際に泊まった人数(実数)、延べ宿泊者数は人数×泊数です。2人組が3泊なら、宿泊者数2人・延べ宿泊者数6人です。

Q. 報告を忘れていたことに気づいたら?
気づいた時点でできるだけ早く民泊制度運営システムから報告してください。不明点があれば届出先の自治体窓口へ。放置すると督促や指導の対象になります。

Q. 宿泊者名簿には何を書けばいいですか?
氏名・住所・職業・宿泊日、外国人観光旅客は加えて国籍・旅券番号です。この名簿を予約1件1行で付けておくことが、そのまま定期報告の集計基盤になります。

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。 労働者を1人でも雇っていれば対象で、中小企業の猶予期間はありません(改正労働施策総合推進法)。 方針の策定・周知、相談窓口の設置、対応記録の整備などが求められます。

何をすればいいか、5つの措置に整理しました →

まとめ

民泊の定期報告は「偶数月15日まで・前2ヶ月分・実績ゼロでも報告」の3点を押さえれば、制度としては難しくありません。毎回つらいのは集計であり、その解決策は報告から逆算した宿泊者名簿を予約のたびに1行ずつ付けておくことです。次回の8月15日は6月・7月分。この機会に名簿の形を整えておくと、10月からの報告は数分で終わるようになります。

2ヶ月ごとの集計、仕組みにできます。

宿泊者名簿からの自動集計、報告前のLINE通知、予約データの取り込みまで。スプレッドシート+GASの「月額0円で回る仕組み」を、お使いの運用に合わせて作ります。

無料で相談する →
© Khorai / あらゆる分野の業務を、データとAIで仕組みに。 会社サイト・記事一覧